はじめに
小川中学校は、昭和38年、小川町内にあった2つの中学校、小川中学校と小玉中学校を統合して、それまでの小川中学校とは別の新たな地、今の竹ノ内に新生小川中学校として誕生しました。平成25年度に統合50周年を祝いました。
統合時は、生徒数766名、18学級、1分校という規模です。統合したことにより、学区がとても広くなりました。南北に約20キロ、東西最大約8キロです。学区内をJR東日本の磐越東線が走っていますが、小川郷駅と江田信号所の2カ所の駅があります。
もともといわき市自体が全国で2番目に広い市です。いわき市の中で1,2位を争う広さの学区ですから、全国の市の中では、きわめて上位の学区を有しているのだろうと思います。学校から約12キロにある戸渡地区に分校がありましたが、昭和44年、本校に寄宿舎が出来、分校は廃校となりました。それも平成9年、少子化の進行で役目を終えています。
小川町の産業は、農林業が主です。農業は米作主体ですが、山がちで広大な農地はないため、ほとんどが兼業農家です。石炭がエネルギーの主役だった頃は、小川町にも炭鉱があり、駅前には岡本ゴムの大きな工場や映画館などの娯楽施設などもあって、とても活気がありました。しかし、炭鉱がなくなり、岡本ゴムの工場も別の地に移転、小川郷駅の無人化とも相まって、農林業以外に目立った産業がない小川町は、急激に寂しくなりました。そのため、全国的な少子化の流れ以上に少子化が進み、統合30周年の平成4年度で、在籍数310人と半減しています。50周年の平成25年度で、188人、今年度は171人です。ここ数年は、170人を前後に推移する見込みです。
自然環境に恵まれた小川中学校は、学校だけでなく家庭、地域など社会全体で子どもを育成しようという考えのもと、幅広い年齢、立場の人たちで構成する学校支援ボランティアが組織されていて、いろいろな形でご協力いただける環境にあり、子どもたちにとってとても良い教育環境となっています。
小川中学校は、平成元年、台風13号により、大きな被害を被りました。学校の前を流れる夏井川が学校1キロ上流で決壊、濁流が直撃し、一階が腰の高さまで浸かりました。その後、修繕して使っていましたが、平成13年度に待望の校舎改築となり、現在に至っています。内装に木をふんだんに使った落ち着いた雰囲気の校舎です。体育館も平成20年度に改築されました。ここで、生徒たちはのびのびと勉強に、諸活動に、スポーツに取り組んでいます。
現在の小川中学校
小川町は自然が豊かです。中学校の南西に水石山と赤井獄(隣接学区にある)北に二つ箭山(学区内)と観光スポットの山に囲まれています。二つ箭山は、気軽に登山できる山として結構人気があります。また、江田地区は背戸俄廊を中心とした夏井川渓谷県立自然公園に指定されていて、四季を通じて年間約70万人が訪れるところです。小川では、こうした自然をできるだけ手を加えない自然の状態での保存に努めてきました。しかし、平成23年の東日本大震災で、大きな被害を受け、一部入山規制されるなどしています。現在、原状回復に全力を挙げています。
南西ある水石山、昔は放牧地 北にある二つ箭山、岩肌の男山、女山の2峰からなっています。
小川町には、郷土の誇りとして3人の偉人がいます。大正、昭和期に日本のマルクス経済学を世界水準に引き上げた経済学者、櫛田民蔵氏、アメリカ合衆国で初めて大規模米作を成功させるとともに、合衆国での日本人、日系人の待遇改善に尽力し、勲三等を受賞したライスキングこと國府田敬三郎氏、文化勲章受章の蛙の詩人、草野心平氏です(草野心平氏の生家は、学校の近くにあります。毎年、心平氏の誕生日に、生家で朗読会が行われますが、本校の2年生も参加して、心平氏の詩を朗読しています)。そのほかに、明治の実業家で東大安田講堂の建築石材(四倉町産)を提供した白井遠平氏がいます。
これらの方々に共通していることは、決してあきらめない忍耐強さと勤勉さ、チャレンジ精神であり、小川の風土が培ったものです。こうした伝統を伝えて、将来を担える人材を育てているのが小川中学校です。
旧小川中学校より引き継ぎました。
〇校旗
ちなみに、旧小玉中学校の校章と校旗です。
こちらのデザインは、小川町統合前の旧赤井村のシンボル蛍が描かれています。
〇校歌
本校校歌は、昭和33年、まだ統合中学校になる前に作られました。
作詞者は、本校の先輩、草野心平氏です。
昭和33年、小川中学校PTA会長さんが、帰郷していた医学博士、草野与平先生(与平氏夫人が心平氏の実姉)を通じて、その時、東京に在住していた草野心平氏に依頼しました。初めは、統合前の小川中学校校歌の依頼をすることになっていました(それまでどちらの中学校にも校歌はなく、草野心平作詞の「小川の歌」を校歌代わりに歌っていました。現在、楽譜が見当たらないため、歌えず)が、当時の教育委員長、新妻氏の発案で、小川町中学校校歌として作詞を依頼することになりました。完成は昭和34年で、統合する4年前のことです。そのため、校歌の中に、学校名がありません。
校長室にある草野心平氏直筆の校歌歌詞
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