上中の様子

表彰伝達

平成28年7月20日(水)

 ◇ 1年 齋藤 祐輝 いわき市スポーツ大会 テニス 中学生男子シングルス3位・ダブルス1位
 ◇ 3年 生田目 采香 いわき南地区中学生弁論大会 努力賞

今、思うこと                      上遠野中学校 三年 生田目 采香

「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」こう言われて、イヤな気持ちになる人はいるでしょうか。私はいないと思います。
 私は中学生になってから、テレビなどでニュース番組をよく見るようになりました。それまでは日本は犯罪が少なく、平和な国なんだなあと思っていたのですが、ショッキングなニュースが報道される度に、目は画面に釘付けになりました。強盗、殺人、暴行、虐待、死体遺棄・・・。ここいわき市でも、そのような事件が起こり、決して人ごとではないのだと強く感じました。
 事件を起こした人の中で、周りの人間を傷つけ、逮捕されて、「だれでもよかった」と動機を述べる人がいます。番組でその人の生い立ちなどが紹介されるのですが、私は、その人達は、近所の人や、友人と関わりが少なかったり、あるいは全く関わりがなく、孤立しているように思いました。
 また、親が子供をアパートに置き去りにしてしまうような、悲しい事件でも、家族や近所の人との関わりが深かったなら、周りがいち早く気付いて、助けてあげることができると思うのです。
 私は、小さい頃、一人で外に遊びに行き、迷子になってしまったことがあります。周りはだんだん暗くなり、どうやって家に帰ればよいのかも分からず、不安で道ばたにうずくまって泣いていました。すると、一人のおばあさんが通りかかり、私に「どうしたの?」と優しく声をかけてくれました。

 おばあさんは、近所に住んでいる、いつも優しく、とても明るいおばあさんでした。
 そして、泣いている私の手を引いて、家まで送り届けてくれました。もしおばあさんが来なかったら、私は、ずっと一人で泣くだけだったと思います。
 私は、おばあさんとの「関わり」のおかげで、不安から解放されたのです。
 私が思うに、犯罪を起こしてしまう人は、孤独で、人を信じることができないのではないでしょうか。落ち込んだり、元気がなかったりするときは、あまり人に関わって欲しくないと感じる人もいると思います。しかし、私に声をかけてくれたおばあさんのように、明るく、笑顔で接することは、人と人との関わりにおいてとても大切なことだと思います。
 私は人との関わり合いが、孤独という固く、凍り付いた心を溶かし、犯罪を未然に防ぐことにつながってくるのではないかと思います。皆さんは、人に笑顔で接することができていますか?自分が、何か間違いを起こしてしまいそうな気持ちになったり、間違いを起こしてしまったりしたとき、周りの人にはどう接して欲しいですか。
 私は、そんなときには、ただ責め立てられるより、笑顔で明るく声をかけてもらった方が、気持ちが軽くなると思います。
 仲のよい、一緒に心から笑いあえる、気の許せる人が一人でもいれば、社会は、もっと明るく見えてくるのではないでしょうか。自分を理解してくれる人の、悲しむ顔は見たくない。その思いが犯罪を思いとどまらせるのではないでしょうか。
 平成二十六年度の犯罪白書によると、罪を犯して刑務所に入り、服役した後に、再び犯罪を起こしてしまう人の割合、いわゆる再犯率は約四割程度だそうです。中でも、仕事がない人、家族、知人などの帰る場所がない人の再犯率は、とても高いというデータが出ています。
 人同士の助け合いはとても大事です。それが当たり前の世の中にするために、互いに声をかけ、理解し合うことが大切だと思います。
 そして、それができるようになった時に、社会から犯罪や非行は必ず減ると思うのです。
 だから言います。私から。
「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」。